命の重さとか、罪の重さとか
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命の重さとか、罪の重さとか
辻村深月「ぼくのメジャースプーン」
早速最近読んだ本の中から、面白かった本を紹介したいな、なんて。
主人公は10歳の男の子、ほぼ全編一人称で書かれています。幼馴染の、歯並びはあんまり良くないけど何でもできて、明るくてよく喋る女の子、ふみちゃんとの日常が描かれます。
そんな日常が、ショッキングな事件によって崩れ去ります。暇つぶし、退屈だったから、という軽薄な理由で、ふみちゃんが大切にお世話をしていた飼育小屋のうさぎが殺されてしまいます。運悪く第一発見者となってしまったふみちゃんは、ショックで喋ることができなくなってしまいました。
犯人はすぐに捕まるのですが、罪状は「器物破損」で執行猶予付きの判決。確かに人は殺していないかもしれないけれど、ふみちゃんの心を壊したのはこの犯人だ、と男の子は納得がいきません。
その男の子に、一度だけ犯人と対峙するチャンスができます。そして、男の子は少し不思議な力を持っていて、犯人に罰を与えることができます。
その不思議な力の使い方を教えてくれる「せんせい」と、犯人と対峙するまでの期間である1週間、どのような罰を与えるのがふさわしいか、話し合うっていうのがストーリーの粗筋。
男の子と「せんせい」の会話を通じて、命の重さとは何か(蝿やアブラムシは殺していいのに、何で蝶は殺しちゃいけないの)や、どのような罰がふさわしいのか(これは復讐なの? 犯人が反省すればいいの?)
、などといった、重たいテーマが次々と投げかけられます。
それをひとつひとつ、男の子は非力ながら、答えを出そうと一生懸命になります。読んでいて、男の子がすごく愛おしく感じます。
と、こんな感じで重たいテーマを取り扱っているんだけど、登場人物が魅力的で、物語全体が重たくなっていうないです。最後まで一気読みしちゃうほど、エンターテイメントとしてよくできてるというか。なんだか上から目線ですけど・・・w
悩みながら、男の子がどんな結論を出すのか、是非読んでみて欲しい一冊なのでした。
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